2011/11/30

【event report】第十三回文学フリマ

ご報告が遅くなりましたが、2011年11月3日、hi→は文学フリマに参加しました。

蒲田から東京流通センターにうつった初めの会。
いつもより広い会場にて、しかし熱気はおとろえないままでした。

hi→は1階「ウ―35」『歩きながら考える』さんブースにおじゃま。
前回と同じく委託販売をおねがいしたのでした。


今すれちがったひと、どこかで見たことあるような?
あれ、あなたも参加していたの!
などなど、オモシロイつながりがたくさん。
いつの間にやら愉しい場が楽しいひとを呼んでいたみたいです。

お隣の『牟礼鯨』さんとお喋りも弾み、
官能俳句でコラボしよう!なんて盛り上がる一幕も。

そして次回、来年5月の文学フリマ、hi→もブースを申し込む予定です。
お祭り気分で、今から当日の衣裳のことなど話し合っていますヨ!

ゆめはふくらむのでした。

2011/11/23

【artist interview】写真家・村松桂さん(2012冬号アートワーク)






                     上:'con grazia'/下:'ad libitum' (いずれも「danza margine」より)


『hi→』2012年冬号(12月下旬発行予定)では、写真家の村松桂さんをアートワークにお迎えします。
村松さんは、フォトコラージュ・フォトモンタージュ・多重露光といった手法を採用し、幾つものイメージを重ね合わせることで、静謐でありつつも豊饒な美しい世界を表現されています。今回は、村松さんが11月25日から東京で個展「danza margine」を開催されるにあたり、hi→からインタビューをさせて頂きました。
冬号のアートワークを楽しみにして頂くとともに、ぜひ、個展へ足を運ばれてみてください。(聞き手:西丘)



―――今回の個展は、ダンスをテーマにされています。ダンス、またはダンスを撮ることについて、どのような思いがあったのかお聞かせください。

ダンスやバレエは前々から作品に取り入れてみたかったテーマのひとつです。前々回の個展(「echo song ( movie stills )」)では「映画」をテーマにしたのですが、映画にしろダンスにしろ、なにか動的なものを静的な写真で表現することに、今は強く惹かれています。一度「踊られた」しぐさを、時間的に静止させてしまうこと、でもいわゆる「一瞬をとらえる」ような写真ではなくて多重露光という手法を使って。それと、今回写っている踊り子たちはすべて古い雑誌などを切り抜いてもう一度写真にとったものなのですが、そうすることで「動」と「静」が入れ子状態になれば良いなと思ってそうしました。

―――「danza margine」(=「境界線の上で踊る」)という個展のタイトルが印象的です。村松さんは、「境界」に以前から関心を持たれているようにお見受けします。写真集「Natura naturata」の前書きでは、芸術のジャンルを分ける境界について、「イメージを重ね続けることで私が見たかったものは、この境界が消失する瞬間なのではなく、これからも平行に存在し続ける境界、埋められない溝であったに違いない」と書かれていました。なぜ、「境界」に惹かれるのでしょうか。

たぶん、そもそもはやっぱり「見る」ということを考えた末に生まれてきた関心なんだと思います。それから、すべてのものをジャンル分け・分類するという、人間の認識の仕方への関心、疑問です。「見える」と「見えない」の違いって何だろう、から始まって、「動いているもの」「止まっているもの」の違い、「話された言葉」や「音」と「歌」「音楽」の違い。動と静に関して言えば、いま例えば目の前にコップがあるとして、それは人間の目には止まっているように見えるけれど、宇宙的に言ってみれば地球の自転とともに動いているわけだし、それから分子的に見れば、時間とともにほんの少しづつ、崩壊の方へ進んでいっている。そう考えてみると、動と静をわけるもの、境界線はどこにあるのか分からなくなってしまって。でも、なにか別々のものがお互いを意識して、歩み寄ろうというとき、初めから全てがひとつで同じものだったら、その先がないような気がしたんです。「これ」と「それ」は違う、ということを認識してはじめて、「これ」と「それ」を結びつけることができるというか。それは「同じ」という前提からはじめて、そこに違いを見つけていくことより楽しいことであるに違いない、と思いました。こうやって、「境界」とか「差」についてあれこれ考えたことをいちばんストレートに出したのが前回(「Natura naturata」)の時なのですが、答えが見つかるようなことでもないので、まだしばらく考え続けてしまいそうです。

―――前回の個展(「Natura naturata」)の作品より、明度を抑えられている印象があります。

そうですね。前回はモノの輪郭線をなるべく曖昧にしたかったので、わざと明るめにしました。絵の具の黒とは違う、写真の黒がとても好きなので、どちらかと言うと黒っぽい作品のほうが多いと思います。

―――村松さんの作品を拝見していると、どこからか音楽が聞こえてくるような気がすることがあります。ご自身の作品と音楽性について、何かお感じになっていることがあれば教えてください。

そう言っていただけるととても嬉しいです。今回写真集のあとがきにも書きましたが、音楽に対してはとても強い憧れのようなものがあって…。でもなにか特定のジャンルの音楽に対してとか、ミュージシャンになりたいとかではなくて、音楽が持つ特権的な領域に対する憧れというんでしょうか。ウォルター・ペイターが音楽の"状態"に憧れると言ったのは、まさにその通りだと思います。もちろん、写真であることの意味というか、写真だからこそできるものを追い続けていきたいと考えていますが、絵にしろ写真にしろ、素晴らしい 作品というのはそれを見た時に違った領域の何かを想起させるものだと思うんです。音楽や音でもいいし、本の中の一節とか、冬の日のにおいとか…。「見る」という感覚を突き詰めていってそんな作品が作れたら、いちばんいいなと思っています。

―――ご自身の作品の多くをモノクロで撮られています。村松さんにとって、写真における「色」あるいは「モノクロ」はどのような意味を持っていらっしゃいますか。

色も音も同じ「波」であることを考えたりするのは、とてもロマンティックな気持ちになるので好きなのですが、どうしても写真の中の色というと、今のところ不要なものに感じてしまいます。写真で作品を作るとき、やはり自分自身をいちばん驚かせたいし、自分が見たことのないものを見たい、と思ってしまうので、ふだん色のついた世界に生きているせいで、モノクロの方へ気持ちが向いてしまいます。それから、今のところモノの形のほうに大きな関心があるので、色のことまで頭が回らない、といった感じです。でもいずれはもう少し真剣に「色」と向き合う時間が必要でしょうし、もっと色と仲良くなりたいと思っています。

―――今後、撮ってみたいテーマ・関心のあるモチーフなどがありましたらお聞かせください。

いま関心があるのは「静物」です。何かがきちんと写っているはずなのに、何が写っているのかわからないような、そんな少し奇妙な静物写真が撮ってみたい。それから2冊出しただけで止まってしまっているフリップブックも、本腰を入れて取り組みたいです。

―――本日はありがとうございました。




****** 村松桂さん 写真展「danza margine」******
2011.11.25.(金)- 12.10.(土) LOWER AKIHABARA.
11:00~19:00 open/日・月曜休廊 
詳細は⇒こちら

【レセプション】初日11.25.(金) 18:00~20:00
藍原ゆきさん(ヴィオラ・ダ・ガンバ)と秋山幸生さん(テオルボ、バロックギター)による演奏あり[入場無料]



******作家プロフィール******
村松 桂(むらまつ かつら)
1978年東京生まれ
日本大学芸術学部写真学科卒業
[展覧会]
2009 個展 「Natura naturata」森岡書店
2009 グループ展 「アトリエ空中線10周年記念展-
インディペンデント・プレスの展開」ポスターハリスギャラリー
2007 個展 「echo song (movie stills)」啓祐堂ギャラリー
2004 個展 「Kosmokrator」アートスペース美蕾樹
[作品集]
2009 accordion posters 「Natura naturata」
2007 movie stills 「echo song」
2007 flip book 「Breathe In Peace 2 "kanon"」
2005 flip book 「Breathe In peace 1 "tact"」
2004 tarot card book 「Kosmokrator」
http://hellerraum.nobody.jp/



2011/11/15

【event report】SPUR句会のこと(2)

>>>レポート(1)はこちら



さて、自己紹介を経て、兼題「セーター」を含む5句出しの句会がはじまります。


テーマは「冬のファッション」


  冬 木 立 ブ ラ ウ ス の タ イ ゆ る く 締 め  衣衣


  イ ヴ ニ ン グ ド レ ス の 胸 の 生 花 か な  伊吹


清記、選句、披講のあとは、司会の進行にしたがって、皆で句についての意見を述べ合いました。


小学校時代、クラス委員とかやっていた!という佐藤文香さんがきょうの司会。


その仕切りは、すばらしいのひとこと*


ひとつの句に、こういう情景が浮かんだ!実はこう読むのでは?など、皆の話は尽きません。



  将 棋 さ す 爪 鮮 や か に 寒 椿  衣衣


  ス ト ー ル を 巻 い て あ た し は 魔 女 で す よ  楢



SPURの副編集長さんも、句会の醍醐味であるこの活発なやりとりに感心し、


句会って面白い・・・!!と、言ってくださいました。


自分の句が、誰かの手によって清記され、誰のものでもなくなり、


それがひとの目にふれたとき、違う世界として生まれなおす。


そんなことも、句会をやるひとつのすてきな驚き=よろこびです。


   う す 甘 い 匂 い を 羽 織 り 冬 晴る る  藍子


句会のあとは、美味しいカフェご飯を食べつつ、それぞれの活動の取材を受けました。


その合間に、名刺交換をしたり、おしゃべりをしたり、にぎやかに代々木の夜は更けていきます。



「SPUR」12月号、あと一週間は店頭にもありますので、ぜひチェックしてみてくださいね。


冬のファッションのスナップ、そしてこの句会の様子の写真もごらんいただけます。


  冬 の 眼 の 端 に き ら め く 光 か な  楢


  寄 る 辺 な き セ ー タ ー の 赤 空 広 し  衣衣


2011/11/10

【event report】SPUR句会のこと(1)

先日もお知らせした、hi→が紹介して頂いている「SPUR」12月号

掲載された句のもとになった句会のことを、少し思い出してみようと思います。

その時メンバーの俳句で、本誌には載らなかったものを織り交ぜつつ、お送りします。

******

少し夜が涼しくなりはじめた、8月も終わりにさしかかった某日。
都内のとあるカフェに、つぎつぎに女性たちが集まり始めました。

メンバーは・・・
spicaの3人(神野紗希・江渡華子・野口る理)、矢野玲奈、小川楓子、佐藤文香、小林鮎美、野口ま綾、そしてhi→の4人。(敬称略)


場所は代々木のDADA CAFE

古民家を改装した、都会のエアポケットのような空間で、
素敵な雑貨があり、ギャラリーとしても楽しめます。
ここを貸し切って、この日のSPUR句会は行われました。


  冬 館 飛 行 機 低 く 飛 ん で ゆ く  藍子

  セ ー タ ー の 袖 余 ら せ て 人 を 待 つ  伊吹 


SPURの副編集長さん、ライター・スタイリストなど編集部の方々もいらして、
不思議な熱気に包まれはじめるカフェ。

こんなに女性ばかりで句会をするのは、はじめて!
hi→のほとんどのメンバーは、大人数の句会自体未経験。


否が応にも胸が高鳴ります。




>>>レポート(2)へつづく

2011/11/06

【event report】 「hi→×朝書の会」@酢飯屋さんのこと(2)





季語を食べて、季語を読む。



>>>レポート(1)はこちら




朝書を終えて、お楽しみのお昼ご飯。


季語として書の課題だった「秋刀魚」「柿」と秋鮭がワンプレートになった季語ランチ。
秋鮭の西京みそ焼き、生秋刀魚の塩麹和え、卵焼きと新米とお吸い物、それからデザートには柿
さっきまで書いていた文字を食すわけです。




書道の余韻をかみしめながら、おいしくいただきました。


おなかがいっぱいになったところで、今日の清書を参加者全員に披露しつつ、講評。
とってもいいかんじでした。






ここまででお昼の1時。
なんだか、一日がぱつんぱつんに充実しています。




第二部の句会は、hi→が講師になります。

そういえば、酢飯屋さんは、元お豆腐屋さん。そのうちのおばあさんが俳句をやられていたそうで、酢飯屋さんには、俳句を書いた色紙なんかも。


「半丁の豆腐へ灯す花茗荷 水映」
俳号、平井水映。句集もありました。お豆腐屋さんらしい、澄んだよい名前ですね。





句会のは「秋刀魚」「秋鮭」「柿」が兼題。
ミニ歳時記を渡し、とっても簡単な説明の後、実作。
わりと懇切丁寧に説明するというよりは、まずは書いてみてから、はじめましょう、というスタンスです。





朝書とは、また違う季語との向き合い方。しんとした空間。
hi→のメンバーも作句します。




そして句会。
やっぱり俳句の面白さは句会につきると思うのですが、毎回うまく説明ができません。
ライブもライブ、しかも場だけが持っている熱さ、みたいなのが確実にあるのですもの。


でも、名前が伏せられて、誰のものかわからない句が順繰りに回っていくのは、やっぱり面白いです。


清記、選句、披講というプロセスを経た後、さすがに最初は緊張していた参加者のみなさんも、最後は「面白い!」と破顔して話していたのが印象的でした。
そう、俳句って、句会って、スリリグで、SNS的で、楽しい遊びなんですよ。




さて、句会後は、自分の句、人の句で気に入ったものを書にしたためてみます。
小筆で書く文字もまた、句と同じくその人らしさが出ていて。
こちらも最後に印を押すとぐっと品格が高まるようです。









秋をめいいっぱい、楽しんだ一日でした。
参加者のみなさん、
酢飯屋さんの岡田君、朝書の葉山さん、あらためてどうもありがとうございました!

季節の言葉を書いて、食べて、詠んで満喫した一日。
また季節ごとにやっていきたいと思いますので
よろしくおねがいします。

2011/11/04

【artist】永遠性の有無@秋山画廊

vol.3 2011春号のカレンダーアートワークに参加くださった氷室幸子さんの個展が北参道の秋山画廊にて、11月8日(火)から始まります。

いまは飴を素材とし、日常にあるものを飴と置き換えるという作品を制作している氷室さん。
甘い匂いや、時間を経て姿を変えていく様子をぜひご覧になってください。

永遠性の有無
2011年11月8日(火)-11月19日(土)
秋山画廊

東京都渋谷区千駄ヶ谷3-7-6
tel 03-3401-9505
12:00-19:00
日曜休廊 最終日は17:00まで