2013/01/29

【event report】書と俳句の会vol.6

1月27日の日ようび、江戸川橋の酢飯屋さんにて、「書と俳句の会 in OSHOGATSU***」を開きました!
書の先生、葉山万里子さんとの共催企画。


なんと6回目の開催です。
季節ごとにやっていますから、お正月は2回目。

さいしょは緊張しっぱなしだったけれど徐々に慣れてきました。今回からタイムスケジュールが新しくなり、いつもよりテキパキ終わらせなければなりませんでしたが、かえって濃い時間になったかも。と思っています。

一年経っても新しいアイディアが浮かぶ、豊かな場。
五感をすべてつなげる場。

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冬晴れのあたたかな一日。

まずは第一部。「書の会」のはじまりです。
朝9時に集合! すがすがしい空気のなか、書道をします。じぶんで磨る墨の香りがきもちよい。

書くのは「鰤」「大根」「葱」「牡蠣」「白菜」「蕪」。五つの食材です。
これらはすべて冬の季語なんです。

まりこ先生は、楷書だったり行書だったり、漢字だったりひらがなだったり、
その食材の字に合わせたお手本を作ってくださいます。

それを傍らに見つめながら集中して筆を滑らせるのです。
書き終えてハッと気づくと、あたまの中が洗われたようなきもちに。

そして!
今回からの新しい試みが!
《食材の展示》です!

机に「葉つき大根のあたま」「牡蠣のごつごつとした殻」「白菜の柔らかな葉一枚」「楕円の同心円が美しい葱」を並べました。
食材の美しさを目で味わうのです*

どうして、この野菜はこの漢字で表されるのだろう。と、漢字の成り立ちにもきょうみが沸いてきます。
するとじぶんの書の形も変わってくるからふしぎです。

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また、この日のテーマは《書きはじめ》

あらかじめ皆さんに「新年の抱負」を考えていただき、それを書き初めするという
一月にしかできない事をします。

何回も字の練習をし、一発書きの清書に向かうことで
じぶんの抱負が強いものになっていきます。腑に落ちる、といいましょうか。

去年の書き初めに参加した方が、前回は別々の苗字だったけれど
今回は同じ苗字になられ、新しい抱負を書いていました。
時が流れる、重なるってすばらしいことですね。

ある方が「意味は知らないのだけど、実家の居間で額に飾ってあった言葉です」と紹介していた抱負。
別の方が「それ、ちょうど今読んでる本に出てきました!」と、すてきな偶然も。
こんな交差があるとうれしいですね。

hi→のふたりの抱負の裏テーマは
「ノーモア忘れ物」「ノーモア遅刻」です。。。

「わたし『ねぎ』はすごいうまくなった!」
「『蠣』はややこしすぎる」
などなどと、葉山先生セレクトの音楽を聴きながら、書の時間は過ぎていきました。

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半紙に向かいながら、奥の厨房からおいしそうな香りがただよってきます!
いよいよ酢飯屋特製『季語ランチ』の時間!!!

酢飯屋さんはその名の通りお寿司屋さん。
しかし、昼はランチやカフェの営業もしていらっしゃいます。

いつもこのイベントでは会場をお借りし、ランチを作っていただいています。

季語ランチとは
その季節の季語にある食材をメインとしたごはんのこと。
四季を味わうぜいたくな試みなのです。

今回のメニューは

●鰤大根
●葱と牡蠣のオイル漬け
●白菜の塩麹漬け
●蕪の味噌汁
●炊きたてご飯

ふふふ、書の会で書いた食材ばかりですね。
これが『書と俳句の会』のめだま。
季語を食べ、書き、句にして味わい尽くす時間なのです。


土のなかでほこほこ根を伸ばしたり。殻のなかで栄養を蓄えたり。
長い時間を掛けておいしくなる「漬け」の料理が多いのも、冬らしい食材ならではだなと思いました。

とはいえ考えている暇などなく、ひたすら味わう。
さっきまでにぎやかだった皆さんが、しゃべらずに食べてばかりです。

鰤はやわらか。脂がのっている。
大根はしみしみ。
蕪の甘さ。
ごはんはもちろんお代わり。
牡蠣はくさみなどなく舌に広がる味・・・。
(後半の句の会で「酢飯屋で苦手な牡蠣を克服す」と詠んだ方も!)

いっぱい食べた後は、思い思いにコーヒーや酒を注文し、腹ごなしです。
わたしはとろりと甘くて赤い、みりんのお酒を頼んで「お屠蘇」にしました*

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そして、後半はhi→が講師となる句会

hi→手作りのミニ歳時記をお渡ししつつ、少しだけ説明です。

俳句は五七五の音から成る、世界で一番短い詩形。そのなかに必ず季語を入れるという決まりがあります。
季語は「春」「夏」「秋」「冬」そして「新年」の五つのグループに分かれています。

「新年」の季語が使えるのは、一年のうちで、今だけ!

というわけでどんどん句を作る時間です。

皆さんにまず、手探りでもいいから五七五にしてもらいます。

そぎ落として型に嵌める難しさ。
爽快さ。
季語の力で跳ぶことのときめき。

でも、これらのきもちって、ひとりじゃ味わえないと思うんです。
他者のいっぱいいる句会に出ないと始まらない。句会はライブ、お祭りです。

句を作ったら、短冊に書いて提出。
そしてその短冊をぐちゃぐちゃにし作者が分からないようにしてから、
清記(清書のこと)。場の皆で共有できるようにします。

ここがポイント。江戸時代からある句会ですから、その手順は完成されています!
文章だけじゃ分かりづらいかもしれません。
やってみないと分からないのは、まあ、自転車とか風船ガムみたいなもんです。
はっきり言えるのはおもしろいよ!ということ。

清記したものをぐるぐる回し、じぶんのお気に入りの句を選びます。
これが選句。

いよいよ披講。
誰がどの句を選んだか、そして句の作者は誰か、明らかになる。

わたしの書いた句が、ひとの手に渡って、じぶんの意図を離れたり。
そっちのほうが案外よかったり。

じぶんの選んだ句が、他のひとには違うように見えたり。
新たな光を当ててみたり。


何度目かの参加になる方は、だいぶ五七五の形に慣れているようでした!


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最後に、じぶんの句でも、誰かの句でも、書の作品にします。
模様の入った半紙とか、ハガキとかに書きます。

句会のいいところってこうやってお土産ができるところ、だと思うんですね。
時間という触れないものが触れるようになる、というか。

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以上、『書と俳句の会』の報告でした。

参加者の皆さん、
酢飯屋さんの岡田さん、書の会の葉山さん、
ありがとうございました!

次回は4月を予定していますよ。
またその季節らしい遊びを取り入れたいと思います。